恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「……それ、クレープとして失格じゃない?」
山岸が頬張るサラダみたいなクレープにクレームをつけると、山岸が肩をすくめた。
「わかってねぇなぁ。
クレープの基本はこれなのに」
「えー、どっちかっていえば甘いのが基本でしょ」
どうでもいい話題で笑い合いながら、クレープ片手に帰り道を歩く。
女友達じゃないのに山岸の隣は心地いい。
本当の自分を分かってくれてるから。
外見だけじゃなくて、中身も知っていてくれてるから。
『真面目? いいんじゃねぇ?
っつぅか、何が問題なんだよ。長所だろ』
いつか、そう笑い飛ばされた事を思い出す。
底抜けに明るい山岸はクラス中から好かれてるけど、それだけの理由じゃない。