恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*



「なんであんなヤツが好きだったんだろ」


嫌な事を思い出しちゃって、口を尖らせて机に突っ伏す。


あの頃はキラキラして見えた角田の笑顔には、今は憎悪すら感じるほど。

今でも廊下ですれ違う度になれなれしく声をかけてくるところも頭にくる。

その上、今でもあたしが自分を好きだと思い込んでる、自信過剰なところもムカつく。


あたしが誰かと別れたって噂を聞くたびに

『もしかして俺が忘れられないとか? ごめんな、なんか』とか!

何が嬉しいんだか、ニヤニヤ気持ち悪く笑いながら話しかけてくる、勘違い男。


しかも、角田に振られた翌日から始まった朝の生徒指導では、相沢先輩に捕まるし。


『ぎりぎりアウトかな。

個人的にはその髪色も好きだけどね。似合ってるし。

クラスと名前は?』


一瞬時間が止まったように感じるほどの顔立ちと、背筋をしびれさせるような低く甘い声に捕らえられて、一瞬動けなくなった。


そんなあたしに、口許に笑みを浮かべた先輩が近づいて。



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