恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
『みなさん、おはようございます。今日は……』
3日振りの先輩の声が、あたしの体中に響く。
けど、マイク越しの声に、違和感を覚えた。
いつもなら、あの落ち着いた甘い声が、マイクなんかなくても届く場所にいるのに。
先輩との距離が……、もどかしい。
聞きたくないのに、耳だけに神経が集中する。
3日振りの先輩の声が、甘く低く脳に張り付く。
先輩の声を逃さないように、耳が、体が勝手に反応する。
『―――田口先生、沢田先生、宮内先生、増岡先生。
今日は新しい学校での慌ただしさを忘れて、ここでゆっくり思い出に浸って……』