恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


『みなさん、おはようございます。今日は……』


3日振りの先輩の声が、あたしの体中に響く。

けど、マイク越しの声に、違和感を覚えた。


いつもなら、あの落ち着いた甘い声が、マイクなんかなくても届く場所にいるのに。

先輩との距離が……、もどかしい。


聞きたくないのに、耳だけに神経が集中する。

3日振りの先輩の声が、甘く低く脳に張り付く。


先輩の声を逃さないように、耳が、体が勝手に反応する。


『―――田口先生、沢田先生、宮内先生、増岡先生。

今日は新しい学校での慌ただしさを忘れて、ここでゆっくり思い出に浸って……』





< 137 / 364 >

この作品をシェア

pagetop