恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「さすが沢田先生だね。朱莉達があげたネクタイしてたじゃん」


離着任式が終わると、後ろに座っていた仁美が声をかけてきた。


「……へ?」


間の抜けた声をもらすと、仁美が「だから」って説明し始める。


「沢田が移動になる時、ファンの女子がお金出し合ってプレゼントしたネクタイ!

してたでしょ?」


集まったファン30人で買ったネクタイは、紺色に水色と白のストライプが入ったモノだった。

1人200円ずつ出し合って買った5000円のネクタイ。


空が好きな沢田先生にって選んだネクタイで、あたしもただならぬ思い入れがあったハズなのに……。

全然気付かなかったし。


それがバレたのか、仁美が疑惑の目であたしを見る。


「分かった。朱莉寝てたんでしょ」


寝てた訳じゃなかったけど、本当の理由なんて言えなくて、曖昧に笑うしかできなかった。



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