恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


赤に近い茶色の、ふわふわの髪。

襟足が長くてたまに注意されてるけど、明るくて人のいい山岸によく似合う髪型だと思う。

派手だけど、そんなとこも似合ってるし。


「それがさぁ、朱莉寝てたんだって。

まったく……、あんな張り切って一番前取ったのにね」


答えようがなくて苦笑いを浮かべていると、後ろを振り返った山岸が「あ」って声を漏らした後、指を差した。


「会長だ」

「え?!」


過敏反応して振り返ると、生徒会役員と一緒に歩く先輩の姿があって……。

慌てて隠れ場所を探す。


ドキドキドキドキうるさく鳴り始めた心臓が、あたしを焦らせる。


だけど、廊下に隠れ場所なんかあるはずもなくて、結局、先輩から顔を隠すように背中を向けるのが精一杯だった。


< 141 / 364 >

この作品をシェア

pagetop