恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
赤に近い茶色の、ふわふわの髪。
襟足が長くてたまに注意されてるけど、明るくて人のいい山岸によく似合う髪型だと思う。
派手だけど、そんなとこも似合ってるし。
「それがさぁ、朱莉寝てたんだって。
まったく……、あんな張り切って一番前取ったのにね」
答えようがなくて苦笑いを浮かべていると、後ろを振り返った山岸が「あ」って声を漏らした後、指を差した。
「会長だ」
「え?!」
過敏反応して振り返ると、生徒会役員と一緒に歩く先輩の姿があって……。
慌てて隠れ場所を探す。
ドキドキドキドキうるさく鳴り始めた心臓が、あたしを焦らせる。
だけど、廊下に隠れ場所なんかあるはずもなくて、結局、先輩から顔を隠すように背中を向けるのが精一杯だった。