恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「好きじゃねぇならさ、オレと付き合わない?」

「……え?」


一瞬、冗談だと思って笑おうと思った。

でも、真剣な顔をしたままの山岸に気付いて、それができなくなって。


何も言えないでいるあたしを真っ直ぐに見つめて、山岸が言う。


「オレ、朱莉が好きだ」


2人きりの教室に、山岸の告白が静かに響く。

目を逸らせない先で、驚くほど男の顔をした山岸があたしを見つめていた。


「えっと……」


想像もしていなかった告白に、言葉が出てこない。


だって、ずっと友達だと思ってたし、そういう対象として見た事なんか一度もないし。


もちろん、嫌いじゃない。

好きだけど、でも、それは……。




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