恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
作戦放棄
翌日の朝は、びっくりするくらい時間がゆっくり流れてた。
目覚ましも鳴ってないのに、ここ数日間の習慣で早起きしちゃうし。
だったら早く行けばいいのかもしれないけど……、一応先輩にいつも通り来るように言われてるし。
そのせいで時計が気になっちゃって仕方ない。
一通りの準備を済ませてからベッドに腰掛ける。
ポスンと座ると、きしむベッドに髪が揺れる。
先輩に注意される髪が。
『きれい』
いつかそう褒められた事を思い出しながら、毛先をくるくると指で遊ぶ。
『朱莉といられたからね』
『気が多い男じゃない』
『可愛いね、朱莉』
ふと、先輩に言われた言葉が頭に浮かんできて、唇を噛み締めて俯く。