恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
早く着きたいような、着いて欲しくないような。
複雑な気持ちのまま歩く。
別に、行ったからって何かが変わる訳じゃない。
きっと、いつも通り髪色注意されるだけだし。
それを分かってるのに……。
『明日はいつも通りおいで』
先輩の言葉が引っかかる。
言葉の真意が気になって、知りたくて。
もしかしたら何の意味もないかもしれない言葉を、詮索して深読みしてる。
学校の前の道に入ったところでピタっと足を止めて、ゆっくりと顔を上げる。
視線の先には、校門前で生徒を取り締まる生徒会役員の姿。
生徒会役員の一番後ろに、腕組みをしながら校門横の塀に体を預ける先輩を見つけた。
無表情な顔に少し違和感があるけど、確かに先輩だ……。