恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「はよーっす、朱莉。

また止められてんの?」


頭を叩いたのは山岸だった。

山岸の顔を見た途端に、緊張が解けてなんだか気が抜けた。


だけど、後ろにいる先輩が気になって背中がむずむずする。


「ほっといてよ」


昨日の告白を思い出して目を逸らしながら言う。

けど、山岸はずっと黙ったままで。


不思議に思って顔を上げると、山岸の視線はあたしを通り越して、その後ろを見ていて……。

その視線を追おうとした時、山岸がやっと言う。


「朱莉。昨日の返事さ、やっぱ今日中に聞かせて」


あたしの後ろを見たまま言った山岸に、顔をしかめる。

なんでわざわざこんな場所で言うのかが分からなくて。



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