恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「っていうか、相沢先輩ってさ、誰にでも優しいけど壁作ってるよね」
「……ねぇ、あたしの話聞いてた? 全然かみあってないんだけど」
「なんか、絶対自分の領域には入らせない、みたいな感じしない?
笑顔とか、そういうので本心隠してる感じ」
あたしの話なんか聞いてない仁美にため息をついた後、相沢先輩の事を出来るだけ冷静に考えて見る。
壁、ねぇ……。
「まぁ……確かに、いっつも涼しい顔してるし、怒ったところとか見た事ないかも。
っていうか、笑いはするけど、あまり感情を出してない感じするし。いっつも冷静だし」
「でしょ? でも、そういうミステリアスな部分も魅力のひとつでもあるんだけど。
心を閉ざしてる、みたいな感じで」
「……自分が優れてる事分かってるから、ただ単に他の人を見下してるだけじゃなくて?
『おまえらとは上辺だけの付き合いで十分だ』的な感じで」
「どこまで相沢先輩を嫌なキャラにしたいの?
そんな偉そうな感じ、全然しないじゃん」
「あたしにとっては、すっごく嫌なヤツなんだもん」