恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「なんで……、」
「昨日の返事って?」
あたしの言葉を遮ったのは、後ろにいた相沢先輩だった。
その声を聞いて、山岸がずっと睨むように見ていたのが先輩だって事に気付く。
慌てて振り返ったけど、先輩も山岸の視線に応えるように、じっと見据えていた。
「好きだって告白したからその返事」
敵意剥き出しの山岸にハラハラしたけど、先輩はいつものように冷静を保っていた。
「あっ……山岸、」
先輩の返事を待たないで歩き出した山岸を追おうとしてて……、足を止める。
そして、ゆっくり先輩を振り返った。
気まずく思いながらも振り向くと、気付いた先輩はふっと笑みを浮かべる。
それは、いつも通りの微笑みだった。