恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「髪、違反だよ。
……でも、さっきの山岸くんを見逃したのに朱莉を捕まえるわけにもいかないか」
苦笑いをこぼす先輩は、さっきの山岸の発言なんて気にしていないみたいだった。
それどころか、3日間会わなかった事にだって、何も感じてないみたいで。
そんな平然とした様子に耐えきれなくなって、じっと先輩を見つめた。
「あたしが山岸と付き合ったら……、どうしますか?」
一瞬だけ、先輩が驚いたような表情を浮かべた。
こんな聞き方がズルイっていうのは分かってた。
でも、悔しくて。
あたしはこんなに振り回されていたのに、先輩は冷静だから。
気持ちだって一つも見せない先輩が、分からなくて。
“嫌だ”
そう止められる事で先輩の気持ちに、触れたかった。
やだって、止めてほしかった。