恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
6..mission6
傷つけたくない人
「朱莉」
何も考えられないまま歩いて下駄箱前で立ち止まると、待っていた山岸に呼ばれた。
山岸の姿に、落ち込んじゃった気持ちを慌てて持ち上げる。
ただ、先輩になんとも思われてなかった事が分かっただけで、どうしょうもなく落ち込んでしまった気持ち。
こんなにもあからさまに凹むとか、自分でもちょっとおかしくなるくらい……、それぐらい、あたし落ち込んでる。
あんなにムカついていたのに。
いつの間にか……、気がついたら、もう引き返せるような気持ちじゃなかった。
気づかない振りなんか、できる大きさじゃなかった。
「朱莉、さっきはごめん。
なんかさ、会長にやきもちって訳じゃないんだけど……。
なんか、負けたくねぇって思っちゃって……」
「……相沢先輩はそんなんじゃないよ。
あたしの事なんか……、何とも思ってない……」