恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「ごめん山岸。あたし、付き合えな……、」

「つーか、その前に作戦だろ、作戦!」


最後まで言い切らないうちに、あたしの声なんかかき消すような大声で山岸が言う。

山岸の言葉に、しばらくキョトンとした後顔をしかめる。


「作戦って……、何が?」

「だから、オレと付き合ってるって事にするんだよ。

そうすれば、会長も何かしら動くかもしれないじゃん。

人のモノって欲しくなるもんだろ?」


明るく笑う山岸をじっと見上げる。


……作戦?

作戦って、相沢先輩を振るための作戦って事?


でも……じゃあ、告白は……、嘘?


山岸の気持ちが分からなくて見つめていると、それに気づいた山岸があたしのおでこをはじく。

そして、優しく笑った。



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