恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
ふてくされて口を尖らせる。
そんなあたしに笑った仁美が、「あ」と声を上げた後、さっきとは違う笑みを浮かべた。
にんまり、って表現が合いそうな、何かを企んでいるような笑み。
「じゃあさ、朱莉が相沢先輩をモノにするとかは?」
「は? モノ?」
「そう。相沢先輩が朱莉を好きになれば、きっと髪の色だって注意されないんじゃない?
好きな子は多めに見るでしょ、ふつう」
「……だけど、なんか髪とか注意される以上に問題じゃない?
だって、相沢先輩があたしをって……。
まずありえないし、あっても絶対に困るんだけど」
自然と眉間にシワが寄る。
顔は悪くない。っていうか、上の上の特上。
けど、あんなのと付き合うとか、絶対に考えられないし。
そんなあたしの考えを読み取ったように、仁美が首を振って説明し始める。