恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「とりあえずはさ、付き合ってるって事にしとけばいいじゃん」

「とりあえずって、昨日の告白は……、」

「今日から送り迎えして、会長にアピールしないとだな」

「ね、山岸、」

「お昼とかも一緒に食ったりして」

「山岸……、」

「あ、あと、おそろいのストラップつけるとか……」


何度も呼ぶのに、山岸にあたしの声は届いていないみたいだった。

まるであたしに何も話させないみたいに、山岸は笑いながら話し続ける。


いつもは人の事ばっかり気遣うくせに、なんで……。


不思議に思ってじっと見ていると、山岸の声が少しだけ震えている事に気付いた。

……何かを怖がってる?


そう考えて、ハっとする。

あたしに、返事をさせないようにしてる……?




< 170 / 364 >

この作品をシェア

pagetop