恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「とりあえずはさ、付き合ってるって事にしとけばいいじゃん」
「とりあえずって、昨日の告白は……、」
「今日から送り迎えして、会長にアピールしないとだな」
「ね、山岸、」
「お昼とかも一緒に食ったりして」
「山岸……、」
「あ、あと、おそろいのストラップつけるとか……」
何度も呼ぶのに、山岸にあたしの声は届いていないみたいだった。
まるであたしに何も話させないみたいに、山岸は笑いながら話し続ける。
いつもは人の事ばっかり気遣うくせに、なんで……。
不思議に思ってじっと見ていると、山岸の声が少しだけ震えている事に気付いた。
……何かを怖がってる?
そう考えて、ハっとする。
あたしに、返事をさせないようにしてる……?