恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「山岸……、ハッキリ言うけどありえないよ。

山岸の口癖の『ないないないっ、ありえない』って、ここで使うべきだよ」

「だって女の子は大事にしなさいってばあちゃんが言ってたもん。

ばあちゃんは間違えた事言わねぇから絶対だって。

それに、それはオレの口癖じゃねぇし」


呆れて笑ったあたしと山岸の間に、少しだけ沈黙の時間が流れる。

最近の山岸は、いつも以上に騒がしくて会話を切らせない。

……あたしに何も言わせないようにしてるみたいに。


だから、チャンスだと思って山岸を見上げた。


「山岸、こないだの事なんだけど、」

「あ、オレ、先行くな。校門見えてきたし」

「あ……っ、ちょっと!」


あたしの言葉を遮って、笑顔を残して走っていっちゃう山岸。

その背中にため息が落ちる。


今週に入って、こんなのが、もう4日目だ。






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