恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「違うって。付き合えって言ってるんじゃなくて。
嫌な目に遭わされてるなら、好きにさせて振っちゃえば?って事。
振られた相手には、強く出られなそうじゃない?
ほら、角田に振られたいつかの朱莉みたいに」
楽しそうに笑った仁美がまた話を蒸し返すから、むっとして睨む。
「だから、やめてってば。
……分かった。角田うんぬんはなしにして、とにかく相沢先輩があたしを好きになれば嫌な思いをしないですむって事でしょ?
やってみる」
うん、と一度頷いて気合を入れて見せると、作戦を立てた張本人の仁美がなぜか唖然としてあたしを見る。
「なに? その顔」
「え、っていうか、マジでするの?」
「持ちかけてきたのは仁美じゃん」
「そうだけど、相沢先輩相手に勝算があると思う? ……まぁ、でも朱莉可愛いし、上手く取り入れば可能性なくもないけど……」