恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「だけどさぁ、このままじゃ山岸もなかなか朱莉の事諦められな……、」
「分かってる」
仁美の言葉を遮って言う。
「いくら山岸が言った事だからって言っても、こんな事続ければ続けるほど、山岸は終わった時キズつくもん。
ちゃんと言わなきゃって、分かってる……」
「そっか」
今日も教室には山岸の賑やかな笑い声が響く。
悩んでるなんて想像もできないくらいの笑顔……。
あたしのため息が、梅雨入りをした厚い雲に溶けていった。
分かってる。
こんな風に結論を先延ばししたって、いつかはその時がくる。
決して避けてなんか通れない。
延ばせば延ばすほど、山岸をキズつける。
怖がってちゃダメなんだ。
進まなきゃ、ダメなんだ。
山岸が聞いてくれるまでちゃんと伝え続けなくちゃ、ダメ。