恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


……最悪。

今日は朝から気合い入れときたかったのに、こんな時に限って寝坊とか……。


山岸に、ちゃんと言わなきゃなのに。


「……あれ?」


ぽつりとつむじの辺りに水滴が落ちた気がして、空を見上げる。

頭の上に広がるグレイの雲から、ほっぺだとかおでこに雨が落ちてきて、顔をしかめる。


一度家の方向を振り返ったけど……、その足を学校の方へ向け直した。


傘を取りに帰ったら間に合わないし、これくらいなら走っていけば……っ。



そんな甘い考えを後悔したのは5分後。


『激しい雨になるでしょう』

今朝慌ただしい準備の中、テレビが伝えていた事を今更思い出した。




< 188 / 364 >

この作品をシェア

pagetop