恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
……最悪。
今日は朝から気合い入れときたかったのに、こんな時に限って寝坊とか……。
山岸に、ちゃんと言わなきゃなのに。
「……あれ?」
ぽつりとつむじの辺りに水滴が落ちた気がして、空を見上げる。
頭の上に広がるグレイの雲から、ほっぺだとかおでこに雨が落ちてきて、顔をしかめる。
一度家の方向を振り返ったけど……、その足を学校の方へ向け直した。
傘を取りに帰ったら間に合わないし、これくらいなら走っていけば……っ。
そんな甘い考えを後悔したのは5分後。
『激しい雨になるでしょう』
今朝慌ただしい準備の中、テレビが伝えていた事を今更思い出した。