恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「あれ、今頃登校? 遅刻だよ」


あたしに気付いて笑みを浮かべた先輩。

先輩の笑顔を見た途端、なぜだか泣きそうになってしまって歯を食いしばった。


恋患いとか、誰が言い出したんだか知らないけど、ホントその通りだと思う。

本当に病気にでもかかったみたい。


胸が悲鳴をあげそうなほどの動揺も。

胸が押しつぶされそうなほどの切なさも。


そんなの病状のひとつでしかない。


もっともっと、言葉にはできない感情が渦巻いて、心を患わせる。

心って本当に胸の奥にあるんだ、なんて思いながら、苦しくなった胸の前で手を握りしめた。



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