恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「朱莉、入って」

「……なんで門閉めてるんですか?」


傘を差す先輩を見ながら聞くと、先輩は「ああ」って呟くように言った後説明してくれる。


「昨日不審者が出たらしくて、今日から校門を閉める事になったんだ。

……とりあえず入って」


言われて、僅かな幅になった校門を抜けて、敷地内に入る。

すると、あたしを見てた先輩がふっと笑った。


「そういう意味じゃないよ。

傘に入ってって事。朱莉、びしょ濡れだろ」


指摘されてから本当の意味を理解して……、遠慮がちに先輩の隣に入った。


「……すみません」

「いや、こんなのは別にいいんだけど……。

着替えないと風邪引くよ。服の替えはある?」


ガチャンと校門を閉めてから、先輩があたしを見る。

制服が濡れてるせいもあって、見つめられると恥ずかしくて仕方なかった。



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