恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「山岸くんもそれぐらいじゃ妬かないだろ?」
舞い上がってた気持ちを、見事に沈ませる言葉だった。
……バカみたい。
2人きりになった事とか、先輩の服を貸してもらったとか、そんな事に喜んじゃって。
だからって、先輩の気持ちが変わったわけでもないし、あたしと先輩がどうこうなれるわけじゃないのに。
今度から山岸にバカとか言うのよそう。
こんなんじゃ人の事言えないもん。
そんな風に考えて、わざと悲しい気持ちから目を逸らそうとした。
けど……、どんなにバカみたいでも、悲しくて。寂しくて。
先輩から山岸の名前が出るたびに、あたしの事なんか好きじゃないって言われてるみたいで、耳を塞ぎたくなる。
唇を噛み締めて、持っている先輩のシャツを握る。