恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
心の中からと、体の外から。
両方から先輩の存在が主張して、おかしくなりそうだった。
着替えてる間、先輩は本当に一度も振り返らなかった。
そんな先輩の後ろ姿を少し見つめてから、声をかける。
「……終わりました」
「やっぱりちょっと大きかったかな。可愛いけどね」
すっぽりって言葉がぴったりなくらい、先輩のYシャツに収まったあたしを見て、先輩が優しく微笑む。
その顔に、どうしょうもなく気持ちがこみ上げる。
こんな風に優しくされてるから、よけいに。
気持ちのまま……、好きだって言いたくなる。
だけど、それを止めるのは、不安と恐怖。
もし振られたら……。
そんな臆病な気持ちが、言葉を止める。