恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
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悪魔の微笑
「いい加減直せないのかな……」
5月半ばの、すがすがしいほどの天気の下。
端正に整った顔立ちを少しだけ歪めた相沢先輩は、わざとらしく首を傾げた。
生徒会長をしている相沢先輩が、生徒会委員を引き連れて毎朝校門で生徒指導を行い始めたのは、数ヶ月前。
取り締まるのは、服装とか髪色とかピアスとか。
引っかかる生徒はそんなに少なくはないし、クラスの子だってわりと注意を受けてる。
「―――2−5 青山朱莉、髪……と。今日で56回目の注意かな」
―――だけど。
「毎日毎日同じ事言われてるのに、まだ分からない?」
あたしほど毎朝引っかかる生徒は絶対にいないと思う。
しかも毎回、生徒会長じきじきに声を掛けられるっていうイヤなオプションつき。