恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
いらない
「朱莉?」
先輩の声が聞こえて、ギュッと目を閉じた。
あたしが大事にされたいのは、一緒にいたいのは……、誰でもない、相沢先輩だけ。
「……」
だけど……。
山岸との事がはっきりしてないのに、そんな事言えるハズなかった。
『ごめん、朱莉。俺、諦めねーから』
山岸の震えた言葉に、ちゃんと答えられていないんだから。
先輩の口から山岸の名前が出るまで、そんな事すら忘れていた自分が嫌になる。
自分勝手にもほどがある。
山岸の事を忘れて、先輩と一緒にいられることに舞い上がったりして……。