恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「…っ……」
止めようとしてるのに流れ続ける涙に、言葉にならない声がもれる。
天気予報通り激しくなった雨に消え入る泣き声は、静かな教室に消えていった。
先輩に気付かれない事を願いながら、なんとか声を出そうとした時。
後ろに気配を感じて、肩をすくめた。
次の瞬間、先輩があたしの体を向き直らせて……、腕の中に抱き寄せてた。
一度だけ知っている優しい腕に包まれて、頭が真っ白になる。
先輩の行動の理由がわらかなくて、どうしていいのか分からない。
抱き締める腕に、ギュッと少しだけ力を入れる先輩に、胸の内側が苦しくて、声がでない。
激しい雨の音以上に近くに響く先輩の心臓の音が、あたしの緊張を高めてた。