恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
一途に偲ぶ恋なんて、あたしには無理だよ。
だって、優しくされたら欲しくて仕方なくなるから。
近くにいたら
話したら
触れたら……、
欲しくて欲しくて仕方なくなるから。
我慢できなくなるから。
それならいっそ―――……。
「朱莉は俺が嫌い?」
抱き締めた腕を緩ませないまま、先輩が言う。
雨音の中、少し寂しさを含ませた声は、いつもよりも甘く切なく耳に届く。
耳を通って、身体中に響き渡る。