恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「……嫌いです。
嫌いっ……嫌い、大っ嫌い!」
涙が溢れるのを感じて、先輩の胸を両手で押し返した。
俯いたまま顔を上げられずに、先輩の胸の上で手を強く握り締める。
「もう……、期待させないで」
やっと出た声は、先輩に届くかも分からないような小さな声だった。
別に、届かなくてもいい。
雨音に消えていい。
……どうせもう話さないんだから。
もう話しかけないで。
笑いかけないで。
かまわないで。
触れないで。
もう、これ以上、振り回さないで。
あたしの気持ちから、出て行って……。