恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
『ごめん』なんて、何回伝えても足りない気がした。
気持ちのすべてを伝えきれない気がした。
「あたし、山岸と友達でいたくて……。
だけど、そんな都合いい事言えないし……、どうしていいか、分からなくて……っ」
まとまらない気持ちを、必死に言葉にする。
わがままで自分勝手だけど、あたしの本音を。
山岸に呆れられちゃうかもしれない。
けど、気持ちを偽ったりしたくなかった。
あたしの本音を全部、伝えたかった。
山岸が伝えてくれたみたいに。
ひっくって、呼吸がおかしくなって、そんなあたしを、山岸が笑った。
「泣くなよー」
山岸の手があたしの頭を撫でる。