恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


泣き止まそうとしたなら、山岸の行動は逆効果だと思う。

優しさが伝わってくる手になんて触れられたら、もっともっと気持ちが溢れ出しちゃうから。


教室中からの視線を感じる。

だけど、そんなギャラリーを気にしない様子で、山岸が話し始める。


「あのさ、朱莉に頼まれなくても、元からオレ達、友達だし。

つーか、友達までやめられちゃうと寂しいんだけど」

「……ウソ。強がんないでよ。

振られたのに友達とか、できるわけないじゃん……」


涙を拭きながら言うと、山岸が安心したように笑う。


その笑顔がすごく……、すごく優しくて。

思わず見入るほどだった。



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