恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「つーか、いつ突っ込もうかと思ってたんだけど、山岸、朱莉に振られたの?」
「無理に決まってんじゃん」
「会長から奪おうなんて無謀だよね。
ネタとしてなら分かるけど、本気でってちょっと笑えないって」
苦笑いして仁美を睨んだ山岸に、教室中から次々に言葉が飛んでくる。
それを聞いた山岸は少しの間黙ってたけど……。
「おまえら、キズをえぐるような事言うなよっ!
深まるだろうがっ!!」
冷やかして笑う友達の中心に、山岸が飛び込む。
隣にきた仁美が、呆れたみたいに笑った。
「本当に騒がしい奴」
「……うん」
「まぁ、あんな奴だし、朱莉も気にする事ないんじゃない?
……自分の気持ちを素直に伝えたんだから、それでいいと思うし」
「うん……ありがと、仁美」