恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


避けたくても、忘れたくても。

結局、朝校門で会っちゃうし、どうしたって顔を合わせる事になる。


だとしても、今日くらいは避ければよかったのかもしれないけど……。


手に持つ紙袋の中には、洗濯して乾燥機で乾かした上に、アイロンがけまでした先輩のYシャツ。

どうせなら早く返しちゃった方がいいと思ったんだけど……、判断を間違ったかも。


「……はぁ」


曇ってる空からは、夜になると雨が落ちてくるってテレビが伝えていた。

どんよりとした厚い雲の下、重い重い足でなんとか歩いて、校門が見えた時。


反射的に立ち止まった。


……逃げたい。


そんな衝動に駆られたけど、そんな事できるはずないって諦めて、また歩き出す。



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