恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「これくらいの髪、他にもいっぱいいます!

なのに、なんであたしばっかり……、」

「俺が言いたいのは朱莉の髪の事じゃない」


きっぱりと否定した先輩を、顔をしかめながら見上げる。

先輩は、あたしをじっと見つめながら聞いた。


「朱莉の昨日の言葉の意味だよ。

『期待させないで』って、俺には聞こえたんだけど……、どういう意味だったのか聞きたかったんだ」


いつになく真面目な顔を見せる先輩を見ていられなくて、目を逸らしてうつむく。



どう答えていいのか分からない。

だって、どういう意味だったのか、なんて……。

勘のいい先輩だったら、気付いてるに決まってる。


知ったところでどうにもならないのに、なんでそんな事聞くの?

告白の催促……?



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