恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「こういう事しないでって事です……!」
先輩が、あたしが払った手を見る。
それから、あたしを見つめた。
「期待するからって事?
でも、朱莉には山岸くんが、」
「もう……、あたしの事好きじゃないなら放っておいて!!
お願いだから……!」
涙がこぼれそうになるのを感じて、先輩に背中を向けて走り出す。
全部を終わりにしたいのに……。
この気持ちの終わらせ方が分からない。
ダルさのせいで上手く走れない体が鬱陶しい。
先輩に触れられた場所が、いつまでも熱を持ってた。