恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
好きなのは…
「ちょっとー、移さないでよ?」
……軽く咳をしただけなのに。
飛んできた仁美の言葉に顔をしかめる。
「ちょっとは心配してくれてもいいと思うんだけど」
「保健室行きなよ。薬飲んできなって。
っていうか、熱あるなら帰った方がいいよ。今日の午後、たいした授業ないし」
「うん……。じゃあ一応行ってくるかな」
仁美にほとんど追い出されるような形で、教室を出たのは昼休み。
廊下は賑やかだったけど、熱でも出てきたのか、耳がぼーっとしていてどこか遠くで騒いでいるようにしか聞こえなかった。
体のダルさに落としたため息もなんだか熱く感じる。
……本格的にやばいかも。
熱あったら早退しようかな……。
廊下を進んで、階段を数段下りた時、後ろから呼び止められた。