恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「一時期、相沢くんと付き合ってるって噂も流れたよね?
結局どっちと付き合ってるわけ?」
「……誰とも付き合ってません」
正直に答えたけど、先輩達は顔をしかめるだけだった。
そして、気に入らなさそうにあたしを睨んだ。
「いいよね、ちょっとキレイだとすぐに男に取り入れて。
なんか知らないけど相沢くんもアンタがお気に入りみたいだし?
その髪、いつも注意されるの期待して黒に戻さないんでしょ?」
すごく頭がぼーっとしてた。
目の前の先輩も、雨を落としそうな空も、ダルい体も。
全部があたしを憂鬱にさせる。
「……でも、先輩達はあたしより明るい髪色してるじゃないですか」
「なにそれ。言い訳する気?」
「どっちにしても、あたしそんなつもりじゃないですから。
ただ、これくらいの髪色の生徒がたくさんいる中で、あたしだけが直すのが気に入らないだけで、先輩の気を引こうだとかそういうつもりじゃ……、」