恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


バカにされたみたいに感じて口を尖らせてると、不意に先輩と目が合って。

ドキっとして思いっきり俯いた。


厚い雲の下に吹くのは、生暖かい風。

こんな蒸し暑い中で凍りついているのは、相沢先輩に見据えられた3人だけに思えた。


「それにしても、随分と卑劣な手段だね。

体調を崩した、嫌がる後輩の髪を墨汁で染めるなんて。

今度の生徒会で報告書にまとめて、後日校長と保護者会に提出しようか」


微笑みながらそんな事を言う相沢先輩は、少し楽しそうにも見えて、あたしまで背筋が寒くなる。


こういう……、なんていうかSっぽい気質があるような気はしてたけど……。

それにしたって、冷酷……。


思わず息を飲んで、目の前で凍りつく先輩と相沢先輩を交互に見る。



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