恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
9..mission9

2度目のキス



「ちょうどよかったよ。いじめを取り締まる人数が増えて。

これも朱莉のお陰かな」


3人を逃がした後、座り込んだままのあたしに先輩が歩み寄る。


先輩が近づいてきたのが分かったけど、すっかり腰が抜けてるせいで、逃げるどころか立ち上がる事もできなかった。

安心したせいで滲んできた涙を浮かべたまま、先輩を見上げる。


「なんで、ここに……?」


小さな声で聞くと、先輩があたしの斜め上を指差して微笑む。

さっきまでとは違う、優しい顔だった。


「言ったろ? 生徒会室からよく見えるって」

「……もうかまわないでって言ったのに」


目を逸らして言う。

自分でも可愛くないって思う態度だった。




< 251 / 364 >

この作品をシェア

pagetop