恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
そんな自分を後悔するあたしの前に、先輩がしゃがむ。
同じ視線になった先輩から目を逸らしたままでいると、あたしをじっと見つめた先輩が聞く。
「俺が生徒会の仕事ってだけで朱莉を気にかけてるなんて、本気で思ってるの?」
ちらって見ると、すぐ近くにいる先輩は、今までないくらいに真剣な顔をしていて……。
目を、逸らせなくなる。
至近距離にいる先輩。
その整いすぎてる顔に言葉が飲み込まれたみたいに、何も話せなくなる。
まばたきするのがやっとなくらいの緊張が、あたしを包んでいた。
ドキドキを隠したくて口をキュッと結んでいると、すっと伸びてきた先輩の手が、あたしの目尻に触れる。
「言ったよね?
今度俺の前で泣いたら優しくできないって」
「……え、」