恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*


「あの……、なんであたしを泣かせたくなかったんですか?」


ドキドキしながら聞くと、先輩は困ったように笑ってあたしを見つめた。


「自分でも随分回りくどい事してて嫌になったよ。

……だけど、どうしても手に入れたかったから。朱莉の事」



先輩のその言葉に、あたしを捕らえるその瞳に。

完全にあたし全部が支配されて、目を逸らす事も許されない。


熱だけじゃなくて、先輩の存在にまで侵されてるみたいだった。


それって……、あたしが好きって事?



必死に目で訴えたけど、先輩はそれ以上何かを言うつもりはないみたいだった。

だから、熱とドキドキでぼんやりした頭から、やっとの思いで声を出す。



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