恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「そんなの……、普通に言えば済む問題じゃないですか。
相沢先輩だったら、そういう……、恋愛の事とか、すごく慣れてそうだし」
先輩の送ってくる視線が優し過ぎて、甘すぎて……。
見つめられた場所から溶け出しそうだった。
「言っただろ? どうしても手に入れたかったって。
勝算のあるかどうか分からない状態で勝負に出るつもりはなかったからね。
朱莉が俺を意識するように願いながら、毎朝声を掛けてたんだ」
「じゃあ……っ、もしかして、あのイヤミもわざと……?」
ハっとして言うと、先輩が穏やかな微笑みを返す。
「好きって感情よりも、嫌いって感情の方が先に抱きやすいから。
まずは朱莉に意識してもらう事が大事だったし。
……まぁ、半分くらいは俺の性格の問題だけど」
『性格の問題』……。
その言葉に少し引っかかりながらも、先輩を見上げる。