恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*

保健室の罠



「あらあら、どうしたの?」


保健室前の廊下で鉢合わせになった保健医の先生が、あたし達を見るなり驚いた顔をする。

でも、その後すぐ、明るい笑顔になった。

……なんか、興味深々の時の仁美と同じ顔だ。


女の噂一つない生徒会長が手を繋いで連れてきた女子生徒。


そんな現場にかなり興味があるみたいで、キラキラした目で観察されてる……。

保健医からの痛い視線を感じて目を逸らすと、隣にいる先輩が説明し始める。


「昨日の雨に濡れたせいで風邪引いたみたいで。

多分熱があるんで休ませてあげてもらえますか?」


先輩の横顔は、カンペキに、“生徒会長”の顔だった。

そんな顔を感心しながら見上げてると、不意に目が合う。


先生に向けてたモノとは違う、優しい微笑みを向けられて、慌てて目を逸らした。



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