恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「38、2°か……。思ったよりあるね」
保健室には、外から聞こえる雨音と時計の秒針の音だけが静かに響いていた。
ベッドに鼻まで潜り込んだあたしを、先輩が心配そうに見つめる。
そんな視線に耐えきれなくて、目を逸らした。
「あの……、相沢先輩、献血行かなきゃですよね?」
布団から出した指で指したのは、保健室の壁に貼ってあるプリント。
誕生日を過ぎて、18歳になった3年生に向けられたプリント。
強制ではなかったけど、ほぼ全員が献血する事になってるハズ。
あたしが指差した先にあるプリントを見た先輩が、プリントを見たまま返事をする。
「ああ。いいよ、別に。
……注射は好きじゃないし」
「……」