恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「……先輩? あの……、その、ギャップっていうか、先輩が注射怖いとか可愛く思えちゃって、それで……、」
「駄目だよ、病人なんだから大人しくしてないと」
あたしの言葉を遮るようにそう言われて、さっきまでおかしくて仕方なかったのに、そんなの一瞬にしてどっかに飛んでいく。
どうしよう……。怒らせちゃったのかも。
「先輩、あの、ごめんなさ……、」
不安になって、上半身を起こして謝ろうとした。
けど、先輩の手がそれを止める。
起きようとしたあたしの両肩を押さえた先輩は、そのままあたしをベッドに戻す。
ポスって音がして枕に頭を沈められて。
そして目の前には……、先輩の顔。
押し倒されてるみたいな状態になっちゃって何も言えなくなったあたしに、先輩が言う。
「大人しくしてないとって言ったばかりだろ。
……それとも俺に黙らされたい?」