恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「っていうか相沢先輩ってあんなにモテるのに女の噂とかないよね。
告白されたって噂はしょっちゅう聞くけど、付き合ってるってのは聞かないし。
特定の女の子と一緒にいるのも見ないしね。なんでだろう」
不思議そうに首を傾げる仁美に、山岸が楽しげに言う。
「もしかして誰かに片思い中とか?
振られても諦められないで、一途に想ってるとか?
あれ? ひょっとして会長も寂しい男? 俺達の仲間?!」
「うざい。全部の語尾に“?”つけないでよね。
っていうか、そんな訳ないでしょ! 会長と山岸じゃ違い過ぎるよ。
あの吸い込まれそうに澄んだ瞳も、実は割れてる腹筋も、さらさらな色っぽい黒髪も、山岸とは似ても似つかないし。
同じ男ってだけでも有り難いと思いなよ」
「……おまえ俺に対する暴言がひどくね? 大体、腹筋が割れてるのとかなんで知ってんだよ。
つぅか、俺も意外とモテる……」
「あっ……!」