恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
生徒会長っていう肩書きが、余計に頭にくる。
『俺勉強もできるうえに人望も厚いんだ』的な自慢が聞こえてきそうな肩書き。
「あたし、髪弱いんで決まったやつじゃないと傷んじゃうんです。
染めた事のない先輩には分からないでしょうけど」
適当な嘘をトゲトゲしく言ってから、長めの黒髮を風に揺らす相沢先輩の前を通り過ぎる。
言い返してこない事に拍子抜けしながらも、勝った!って優越感を感じて笑みを浮かべた時。
突然、右側の髪をすくわれた。
優しい指先が首のあたりをかすめるから、背中がゾクっとする。
慌てて振り返ると、相沢先輩は、あたしの髪を節目がちに眺めながら微笑んだ。
「確かに綺麗な髪だね。
合わない着色剤を使って傷んだら大変だ」
目が合って、身体がすくむ。