恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
仁美が逆なでするような事を言うから、握りしめた拳で机をバンバン叩きながら抗議する。
だけど、周りからの視線を感じて、ハっとして教室を見回す。
なぜか遠巻きからあたしを見てる子達が、目を合わせるなり、はーっとため息をついた。
「朱莉~……もー、言ってよ。いつのまに会長と……」
「だから、違……」
「悔しいけど、朱莉じゃ確かにお似合いだし」
「お似合いとかそういうんじゃなくて、」
「っていうか朝から抱き締められるとか……もー、羨ましすぎだよ~」
落ち込みながらも、頬を赤くした女子がキャッキャと楽しそうに話す。
「いや……、だから、違うから……」
騒がしい声の中、あたしの声が誰の耳にも届かないまま、床に落ちた。
みんながあまりに騒いでるから何も言えなくなってると、仁美まで楽しそうに話し出す。