恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
そんなあたしに微笑みながら、相沢先輩は、右手に掴んだ髪の束に唇を寄せて……。
髪に唇が触れそうになったところで、ハっとして相沢先輩の手から髪を抜き取った。
「な、何っ……?!」
「そんなに乱暴にしたら髪に悪いよ。
……今日はとりあえず見逃してあげるから。またね、青山さん」
混乱して口をパクパクさせていると、相沢先輩は微笑を残して校門に戻る。
その颯爽とした後ろ姿に、飛び上がった心拍数がうるさく鳴り響いていた。
「超ムカつくっ!! なに、あのキザ男っ!」
イライラが爆発したのは、2ー5の教室。
余裕のある時間帯に登校してるのに、必ず相沢先輩に止められるから、教室につくのはいつもHRの5分前だった。
ほとんどの生徒が登校してきていている教室の中は、かなりザワザワしてる。
前の席に座る仁美が、あたしの投げつけたカバンから落ちたふでばこを拾い上げた。