恋の罠 *- 先輩の甘い誘惑 -*
「あ、そういえば昨日の合コンどうだったの?」
いくら考えても答えを思いつかない頭から現実逃避するみたいに話を逸らす。
聞くと、仁美が顔をしかめて首を振った。
「だめだめ。レベル低くて全然だめ。
あれなら山岸の方がマシ」
「……山岸が聞いたら怒るよ」
「あたしなんかわざわざ新色のグロス買ったのにさー……。期待外れもいいとこだよ」
はぁ、とため息をつく仁美の唇を見ると、確かにいつもとちょっと違ってた。
可愛いピンク色をしていて、グロス特有の艶っぽさが目を引いた。
「グロスってそれ? 可愛い色だね」
仁美の唇を指差しながら言うと、指の先で仁美の口元が緩む。
「でしょ? あ、朱莉もつけてみなよ。色っぽくなるかもよ?
……朱莉って、きれいで可愛いけど色気のかけらもないからね」
「……最後の一言、絶対に余分だから。
大体、高校生に色気とか求めるのが間違ってるし」